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辺りを見渡すと通りを行き交う男達の視線が彼女に釘付けになっている。
実際、これ程の美少女は周りを見渡してもなかなかいない。
年は自分と同じか少し上位だろうか…?
肌が透き通るように真っ白で、くっきりとした二重が印象的な大きな瞳
バランスのいい目鼻だちに小さくて形のいい唇をしていて、全体的に均等のとれた整った顔立ちの美少女だった。
真っ直ぐ伸びたサラサラの薄茶色の長い髪で頬が隠れて、彼女の小さい顔をより一層小さく見せた。
「あっ、自己紹介まだだったね。私、日野沙雪ってゆーの。この近くの喫茶店でバイトしてるの!」
初対面だと言うのに、沙雪というその少女は、まるで友達にでも話すかのように、気軽なノリで話し掛けて来た。
あまりの外見とのギャップに一瞬、呆気にとられる。
一見可憐で大人しいお嬢様タイプの女の子に見えるのに、話すと一気にそんなイメージは吹っ飛ぶ。
「ねぇ、あなたは?」
「あ…えっと、赤坂春樹」
半分、彼女の勢いに乗せられた形で俺も自己紹介をする。
「凄くいい歌だね!自分で作曲したの?さっきの曲」
「え…あぁうん、そうだけど」
「作曲出来るなんて凄い!歌も凄く上手だし!ねっねっ、もっと何か歌って?ダメかな?」
沙雪というその少女は白い頬を赤く蒸気させて、大きな瞳を爛々と輝かせ俺に詰め寄る。
自分の歌をこんなに誉められるなんて初めての経験で、気恥ずかしさと嬉しさで顔が暑くなるのを感じた。
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