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ある夜のこと。
男がビルの屋上にいた。
男は隣のビルをぼんやりと眺め、時計を確認し、
「時間だな」
そう言って、背負っていた鞄から何かを取り出した。
銃に似たそれは、人命救助などで使われる、ワイヤーが飛び出るもの。
男はそれを向こうのビルの給水タンクに向け、狙いを定めた。
引き金を引いたと同時に音もなく鉤付きのワイヤーが発射され、狙い通りパイプに巻きついた。
「よし」
男は銃ごとワイヤーをこちらのビルの柵に巻きつけた。
これでビルとビルの間に一本のワイヤーが張られたことになる。
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