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次の日の夜、神崎は約束通り昨日の裏路地へとやってきた。
あの不良たちがいないのは救いだった。
数分待つと、向こうから歩いてきたのは……。
「やあ、やっぱり来たね」
昨日と同じサラリーマン風の男。
「携帯返してもらわないといけないですから」
「返すよ返すよ。
でもそれだけが理由じゃないだろう?」
「………………。
俺はあんたをまだ完全に信用してはいない」
「あ、少しは信用してくれてたんだ」
「とりあえず……その変装はとってくれませんか?」
「あ、これ変装だってわかる?」
「よく見れば」
「あ、そう……」
ビリビリと顔から変装用のメイクをとると、かなり若い男の顔がそこにはあった。
変装なしでもメガネをかけ、爽やかな感じが漂う。
「さ、行こうか」
「いやいやいや、どこにですか」
「紹介したい人がいる」
なんだなんだ。
昨日会ったばかりの窃盗犯に一体誰を紹介させられるんだ。
考えながらも、昨日と同じように車に強引に押し込められ、車は走り出した。
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