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えぇ~、次はぁ、霊園前ぇ、霊園前ぇ、お降りのお客さまはぁ、車がぁ、完全にぃ止まりましてからぁ、お席をぉ、お立ちくださいぃ。
あなたは楽しくないの、この街にいて?
と彼女が訊く。
ううん、楽しいよ。今日は恋人と植物園に行ってきた、ピクニックだよ。でもこのバスに乗る前に、彼とはぐれてしまった。ひとりで電車に乗って行ってしまったの、バスが待ちきれないってね。たまにそういうことするんだよ。いい人なんだけどね。困った人。まあ慣れだよね。
わたしはそう言って、少し大げさにため息をつく。
彼女はくつくつと笑う。
霊園前でも誰もおりない。バスは止まることなくバス停を通過してゆく。
老人たちがみんな、わたしたちの会話に聞き耳を立てているような気がするけど、わたしたちの話す日本語ではない言葉を理解してる人はたぶんいないだろう。
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