夢幾夜

【第一夜】

えぇ～、次はぁ、警察署前ぇ、警察署前ぇ、お降りのお客さまはぁ…

終点のN駅にもう少しで到着する。

わたしは訊く。
あなたこれからどこへ行くの？

さあ、と彼女は肩をすくめて言う。
とりあえず駅に行けば次のどこかにつながってる。駅に着いてから考えようかな。

それなら、
とわたしは言う。
それなら今晩はうちに泊まらない？彼がお肉を買っている、晩ご飯はステーキにする予定だよ、よかったら一緒にどうかな。

ふむ、と彼女は鼻をならす。
うん、じゃあお邪魔させてもらおうかな、わたしもあなたの恋人に会ってみたい。えんだね、えん。

うん、これもなにかの縁だね。たいしたおもてなしはできないけどね、まだまだたくさん旅のお話も聞きたい。