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いよいよN駅までの最後のカーブにさしかかったあたりで、バスの中の老人たちが一斉に動き出す。
あるものは網棚からリュックをおろし、あるものは財布から回数券を引っ張り出し、またあるものは隣に立つ老人の腕時計を覗き込む。
にわかにざわめきはじめた乗客を乗せて、バスは走る。
えぇ~、ご乗車ぁ、ぁありがとうぉございましたぁ、次はぁ終点ん~、終点ん~、N駅でございますぅ~。みなさまぁ、どうぞぉ、お忘れ物なきようぉ~、ご注意ぃ、くださいぃ。
さて、とわたしは言って、運賃の小銭を手にとる。
彼女もブーツの紐を結びなおして、降りる準備を完了させる。
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