296人が本棚に入れています
本棚に追加
仕事が定時に終わらないのはいつものこと。
それでも1時間以内には終わらせて病院を出る。
車を郊外まで走らせ、とあるマンションの駐車場で停める。
10階建てのこのマンションの7階の一室。
インターホンをならすと中から女が出てきて柊太朗を招入れる。
「おかえりなさい。今日はわりと早かったわね」
柊太朗から背広を受け取るとそれをつるしてから柊太朗に抱き付く。
柊太朗も彼女を抱き締めくちづける。
伊藤 由梨花。28歳。製薬会社の営業だ。
柊太朗とは3年越しの付き合いになる。
小綺麗な外見で男慣れしており、何より真剣にならない。
結婚が決まった時も適度に拗ねて見せて、あっさり愛人の座に治まった。
最初からそういう付き合いだと分かっていたのだ。
「柊太朗。ご飯は?」
「ん…。先に由梨花だ」
ふたりは抱き合ったままベッドにもつれ込む。
肉感的な由梨花の肢体は男に抱かれるために意図的に造られたものだ。
セックスの最中も適度に感じ適度に乱れて適度に攻めてくる。
まったくもって愛人体質だな、と由梨花を抱きながらも醒めた自分がそう思う。
柊太朗以外にも男がいることは暗黙の了解だ。
柊太朗との愛人関係を切らないところをみると、そっちも同じような関係なのだろう。
行為が済むとふたり抱き合いまったりと過ごす。
「奥さんは待ってないの?」
「あー…。いつも通りだよ」
「奥さんとこうゆうことしないんだ」
由梨花がほほ笑んで柊太朗の胸元をなでる。
「しないなぁ」
ここ2ヶ月は妻とセックスをしていない。
「奥さんはこんなことしてくれないもんね」
そう言うと由梨花は布団に潜り込み、柊太朗の下半身を咥え込む。
最初のコメントを投稿しよう!