Act,1 『少女降臨』

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―――― 殴り、蹴り、投げ、踏み、絞めた。 喧嘩とはお世辞にも言えない、一方的な蹂躙。不良達は痛みに呻き、泣き、叫び、あるいは失神して地に伏せている。 と、魔王様のミコトノリ、もとい幸人少年の独白である。 「あーあ。これだから外出はいやなんですよ。戌も歩けば棒に当たるとは言いますが、これはねぇです。もういっそ、引きこもってしまいてぇですよ。だがしかしbut however、幸人君は1日中家にいると気が滅入る体質なのですよ。むしろ発狂します。虎になります。李徴です。山月記です。あれ? 何の話でしたっけ。そうそう、外出したくない、でも引きこもりたくないってジレンマの話でした。でもさすがに今日は大人しくしとくべきでしたかね。黒猫さんご一行に横切られた当たりで見切りをつけとけばよかったかなー」 驚くことなかれ、ここまで一息である。が、さらに、少年の舌はまだ回る。
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