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広葉学院。
この辺では割と有名な私立の高校である。
寮も完備されており、金持ち高校とか言われていたりいなかったり。
学校の北に男子寮。
南に女子寮。
生徒は全部で千百人あまりになる。
「やっぱり笹川君よね~」
「そう?」
と、私は適当な相槌をうつ。
「何?咲妃は笹川君カッコイイと思わないの?」
笹川楓。
この学校の生徒会長。
2年C組。
身長175cmのAB型。
趣味は読書。
美術部部長。
この学校の女子生徒なら誰でも知ってる情報。
何でもファンクラブまであるらしい、眉目秀麗男子。
この親友、久保田千鶴も現在彼に夢中。
「…まぁ、カッコイイとは思うけど」
そう言う私に千鶴は満足したのか
「でしょ?」
と笑った。
隣のクラスで同級生なはずなのに、笹川楓はまるで芸能人のような存在だった。
確かにいつも笑顔で誰にでも親切。
そして何より顔が整っている。
まぁ、私達のような一般生徒には無縁な人だと言うことだ。
「咲妃今日の放課後の集まり楽しみね」
「え?なん…の……あ!」
「むふふ、文化祭実行委員のに決まってるでしょ?」
千鶴の強引な圧力によりなってしまった文化祭実行委員。その集まりが今日あったのだ。
千鶴は指折り今日を楽しみにしていた。
何故なら、生徒会長に会えるから。
毎年秋に行われる我が校の文化祭は実行委員と生徒会で取り仕切られる。そのため“生徒会長”にお近づきになるチャンスというわけだ。
(なんだか今年は実行委員の倍率が高かった気がする。)
「早く放課後にならないかしら!」
ハイテンションな千鶴に私はがっくりと肩を落とした。
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