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「では、これより文化祭の打ち合わせを行います」
生徒会長の爽やかな一言でミーティングは始まった。
千鶴は私の横でうっとり。
「全体の指揮をとります笹川です。よろしくお願いします」
そう言って笹川君もとい生徒会長は微笑んだ。
『ちょ、見た?咲妃!』
『お、落ち着いて千鶴』
ひそひそ声だけど明らかにテンション急上昇の千鶴。目は完璧にハートマークだ。
見回せば女子の実行委員はみんなそんな感じだ。
恐るべし笹川楓。
「今年はテーマを生徒から募集して決めたいと思ってるので、実行委員は今週中にクラスでの意見を纏めてくるように」
去年は生徒会でテーマを決めていた。
確か“未来”だった気がする。
「それから、これがこれからの日程です」
そう言って笹川楓はプリントの束を副会長に渡した。
それを副会長が実行委員に配っていく。
「……」
配られたプリントにはこれからの予定がビッシリと記されていた。
恐らく、笹川楓自作のプリントだね。これ。
担当の先生なんていらないとさえ思う。
完璧にこの空間を仕切ってる。
現に今、担当の先生は隅の方で居眠りしてるし。
「次の集まりは……」
テキパキと説明をする笹川楓。
本当にリーダーになるべくして生まれたような人だと思う。
最近の先生ではなかなか居ないよ。
(あ、睫毛長い……)
確かに、顔は整っている。他の男子とは纏ってる空気が違う。
目は切れ長
鼻筋もすっと通ってる。
あんまりジロジロ見ていたからなのか、偶然なのか、笹川楓がふとこっちを向いた。
ぶつかる、視線。
笹川楓は嫌そうにするでも無く、ただ優しく微笑んだ。
一瞬だけ時間が止まった気がした。
「っ………」
私は急いで視線を外した。
「きゃー!今こっち見て笑ったよね」
「!」
千鶴の黄色い声で現実に引き戻される。
私は「そうだね」と適当に返した。
「…………」
(何か今、千鶴の気持ちわかりかけた……)
不意打ちだよ完璧。
あれに女子達は悩殺されていくんだろうな。
あの顔は
反則だ。
これが思えば始まりだった気がする。
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