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ずっと腕を縛られてイスに座らされていた苦痛を舐めるなよ。石の上にも三年とか所詮は戯言に違いない。
「美鈴くん冷たい。ま、仕方ないけど。だからこそ美鈴と言えるしね。じゃ、ご褒美と言うことで」
意識を手放しかけて薄くなった感覚の中、頬に唇の当たった感触がする。
「……百年早いよ」
「何をー。わたしは正ヒロインだよ? ふん、わたしもついでにお昼寝するもん」
腕を枕にしようとしたのか、僕の腕に頭が乗せられる。普段ならくっつくなとか言うところなんだけど、今はそんな元気もないので放置。
こんな感じの生活が、僕、火与鳥 美鈴(ひよどり みすず)の最近の生活だった。
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