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「……許してくれる?」
顔を上げるみいちゃんは少し泣いていた。
泣いて、許しを乞うていた。
「もうしないって約束するなら」
許すかどうかは迷いどころじゃない。
僕は知ってるから。
「ごめんね美鈴くん。もうしないから。……ホントにありがとう」
そう言って拭う涙も全て、《偽物》だってことを。
無自覚の、偽物。
「じゃあ、お休み」
再び背を向け、意識を夢に落とす。
みいちゃんも「おやすみ美鈴くん」と言ったけれど、しばらくペタンと座り込んだまま横になろうとはしなかった。
みいちゃんの娘と対面するのは、これから四か月後のことである。
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