ある朝…

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ある朝目覚めると私は猫になっていた。  夢の続きを見ているのかと思い頬っぺをつねってみる。 痛ぁーいと言うつもりだったが、頬っぺには猫のような白い髭が生えていた。 手にも白い毛と、いつもさわっては喜んでいた猫の肉球らしきものが。 あまりの驚きにベッドから飛び起きた。 近くにある鏡を覗きこむ、そこにはこの間まで飼っていた白猫のサリーがいた。   これが私?猫になっちゃったの、猫のたたりーかぁと叫んだつもりだが。   他の人の耳にはフギャーという猫の叫び声しか聞こえなかった。   どのくらいの間、茫然としてそこにたちすくんでいただろうか。  ふと時計に目がいく「あー遅刻するう」と焦ったが、この身体で会社に行けるわけがない。 カバンをかけて電車に乗ってる猫の姿を想像する、可愛いかもと思う。 私ってなんて呑気なんだろう、こんな大変なときなのにと自己嫌悪に陥る。 でもでも、もう会社行かなくていいんだ。    洞穴に落ちて真っ暗な中で見付けた一筋の光のように菜々子の心に光りが差した。 そう私は菜々子、今年32才になる大学を出ていまの会社に就職して10年になる。 一応仕事も任せられて頑張ってるが。 上司からは責められ、後輩からは突き上げられのサンドイッチ状態。 さっき会社にいかなくていいと分かった時に絶望の中の一筋の光りになっても無理はない。 そうこうしているうちに、猫になってしまった身体であるがゆえに睡魔が襲ってきた。 薄れゆく意識の中で遠くで携帯の着メロが聞こえてくる。 あーでなきゃと思うがまぶたが重くのしかかってきた    つぅーびぃーこんてぃにゅう
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