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捺稀「すいませーん!」
…………とても静かだった、俺の声以外何の音も聞こえない。
桃花「藤城さんすいません、あそこまで運んでくれませんか?」
彼女が長い廊下にある扉を指差した。
捺稀「了解」
外はまだ朝のはずなのにカーテンに光を遮られ辺りが薄暗かった。
扉を開け電気をつける、部屋の様子はかなり殺風景だった。
俺は彼女をゆっくりとベットにおろした。
桃花「ありがとうございます藤城さん」
捺稀「いいってこれくらい」
俺はそろそろ戻らなければならないこと、とこの屋敷に人がいないとなると彼女を放っておけないと、二つ考えていた。
捺稀「霧鷺ちゃん」
桃花「あ、私のことは桃花とお呼び下さい、あとあなたが思ってるほど幼く無いですよ?」
ちゃん付けを止めろって事だろうか?
捺稀「そうか、じゃあ俺も捺稀でいいよ」
捺稀「それで桃花、今誰か君の家族か誰か居ないかな?」
桃花「すみません、今は誰も……もう少しで帰って来ると思いますよ…」
捺稀「そうか…俺はもうもう戻らないといけないが、大丈夫か?」
そう言うと桃花は寂しそうな顔をしたと思う、でも俺には笑ってる顔しか見えなかった。
桃花「平気ですよ、さっきも言いましたが私は幼く無いですよ」
捺稀「そりゃ悪かったな一体いくつなんだ?」
桃花「そんなことを女の子に聞いちゃダメですよ」
そんな感じで楽しく話していた。
捺稀「やば、学校に行くの忘れてた」
桃花はやっぱり笑っていた。
捺稀「悪いな、今度こそ行くよ」
そう言って扉に手を掛けたとき。
桃花「捺稀さん」
桃花に呼び止められた。
捺稀「ん?」
桃花「そ、その…またここに来て下さいますか?」
捺稀「ああ、もちろんまた来るよ」
そう言い残し俺は部屋を出た。
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