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絶望の二文字が俺に降り注ぐ。
もう、俺は終いだ。
「おい、早く出ろ」
先程の警官二名が俺を連れ出す。段々と、表口に近づいていく。
嫌だ、行きたくない。
俺は抵抗する。だが抵抗も虚しく、引きずられ表口に連れていかれる。
外には、鉄パイプやナイフを持った観客が、俺を待ち構えている。
人権のない俺を殺しても何の罪にもならないからだ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ…。
死にたくない。
自動ドアが開き、観客の中に放り出される俺。狂気に満ちた笑顔が、俺を覗き込む。全員が凶器を降り下ろす。
見上げると、空は美しい青一色に染まっていた。だが次の瞬間、そこに深紅の色が足された。
この殺人者どもが。
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