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「マナミ」
いつも通り0時前ぎりぎりに玄関に駆け込んだあたしを待ち構えていたように、お母さんがリビングから顔を覗かせた。
その表情は心なしか少し緊張していて、それを見たとたんあたしにまで伝染する。
そんなお母さんを諌めるようにお父さんも奥から出てきて、あたしはさらに身構えた。
「琴美(コトミ)、結論を出すのはまだ早いと言っただろ」
思春期の頃のあたしが、男に必要以上の期待を持った原因──そう、たぶん色々テクニシャン、なお父さん。
顔を見るのは久しぶりじゃないかと思う。
平日はあたしが起きるより早くお父さんが家を出るし、休日はお父さんが起きるより早くあたしが家を出るし。
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