始まりの間

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地震・・・・・・?にしてはやけに小刻みな揺れ片だ。 では何なのかと問われても、淳平にはまるで見当もつかなかった。 そんなことよりもなによりも・・・・・・・・・・・・。 淳平は痛めた体をさすりながら、ゆっくり腰をあげた。 あたりを見まわす。・・・ そいてつぶやく。 淳平「ここは一体・・・・・・どこなんだ・・・・・・。」 見知らぬ部屋の景色を前に、淳平は体の痛みも忘れ、しばし茫然とその場に立ち尽くしていた。 やがて・・・・・・ 何事もなかったかのように震動はひいていった。 冷たい静寂が呟くように、部屋の隅々へと満ちていく。 どこか遠くのほうから、金属のきしむような音がきこえてきた。 得体の知れぬその響きに、淳平は薄気味の悪い思いを抱いた。 あらためて室内を見まわしてみる。 骨董品のような年代物のストーブ薄いマットレスが敷かれただけの簡素な三段ベッド。 ベッドは向かい側にももうひと組設置されていて、そのはずむかいの壁には、どんよりと薄汚れた鉄の扉が石碑のようにたたずんでいた まず真っ先に目を引いたのはそこに書き殴られた文字だった。
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