私と貴方の非日常的日常

68/68
155人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
 10%霧波、90%ラーメンに心で謝罪しながら、俺が店を飛び出すと、そこには黒塗りの車と、同じカラーのスーツを着た厳つい男が二人。  そして片方の男の腕の中には、気絶したカレンが掴まっていた。  連続して起こる予想外の事態に俺の脳内をエラーが貪る。停止した脚を再び加速させる時間が致命傷となって、俺の伸ばした手は、車にすら触れられない。  あまりにも一瞬。三十秒前まで談笑していたカレンの顔はもうどこにもない。  俺はタイヤを銃で狙うことすら出来ず、茫然と立ち尽くした。  心を燃やすのは後悔と自責の念らしきもの。脳裏をよぎるのはカレンとのやりとり。  ――だから心はいらないんだ。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!