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10%霧波、90%ラーメンに心で謝罪しながら、俺が店を飛び出すと、そこには黒塗りの車と、同じカラーのスーツを着た厳つい男が二人。
そして片方の男の腕の中には、気絶したカレンが掴まっていた。
連続して起こる予想外の事態に俺の脳内をエラーが貪る。停止した脚を再び加速させる時間が致命傷となって、俺の伸ばした手は、車にすら触れられない。
あまりにも一瞬。三十秒前まで談笑していたカレンの顔はもうどこにもない。
俺はタイヤを銃で狙うことすら出来ず、茫然と立ち尽くした。
心を燃やすのは後悔と自責の念らしきもの。脳裏をよぎるのはカレンとのやりとり。
――だから心はいらないんだ。
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