私と貴方の出会い

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 窓から差し込む月光が唯一の光源となる。    おぼろげに浮かんで来たのは白磁の肌。一糸纏わぬ少女の肢体は闇夜の中にあってなお輝かんばかりの白さだ。  少女の裸体を包むのは、彼女自身の長髪。  座り込んでいた少女が男の存在に気付き、顔を上げると、月の光に透ける銀髪の下に隠された美貌が露わとなった。  奇跡のような美しさを誇る鼻梁。下に座すのは少女らしい桜色の唇。  そしてなにより目を引くのは紅玉のごとく煌めく、その瞳。魔性で見た者を惑わすような輝きを帯びた真紅の双眸が男を見上げる。  しかし男の表情は一ミリたりとも動くことはなかった。人好きするような笑みを浮かべ、扉を閉じる。  扉のしまる音が、部屋の静寂へと落ちると、男は少女へと近づき、言葉を捧げた――。
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