人質と銃

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強盗にはいるには、まず人質が必要である。 別に無くてもいいが、無いよりは成功率も高くなる気がする。 そんなことで、私はまず、人質になりそうな人間を捜した。 男は大体力が強いし、子供は非力だがピーピー泣き叫ばれるとうるさいので却下だ。 そんなことを考えていると、いつの間にか屋上に来てしまっていた。 しかし、端の方にいかにも非力そうな女が一人、立っていた。 これは人質にもってこいだと思い、銃を向ける。 「おい、お前には人質になってもらうぞ」 しかし女は微動だにしない。 「聞いているのか」 「貴方は無駄なことをしています」 今度は反応があったが、訳が分からない。 「それはどういうことだ。お前にはこの銃が見えないのか。命令に従わなければ、死ぬだけだぞ」 「それが無駄だというのです。私はこれから自殺しようと思っていましたので、貴方に打たれて死のうがここから飛び降りて死のうが関係がありません。」 女の言うことが本当なら、確かに無駄であろう。 しかし 「お前が人質になりたくないが為に嘘をついてるんじゃないだろうな」 「疑っているのなら、今すぐここを飛び降りて見せましょう。それに、こんな人気のない屋上の端に一人で立っているのだから、自殺しようと考えていてもおかしくないでしょう?」
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