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「…レシートの裏読んどいて下さいね」
「は?」
「今は、いいですから」
そう急かされた俺は腑に落ちないままコンビニを出た。
―ジーッ..
「ありがとうございましたーっ」
また、灼熱の中を歩いて帰らなくてはいけないという試練はあったものの、今の俺にそんなモノは通用しない。俺の手に握られてるこのレシートは、もしかしたら俺を今以上の楽園に連れていってくれるかもしれないし、もしかしたら今以上の地獄に連れていくかも分からない。
そんなことを考えていたから、暑さなんて気にならないし、ふと気付くとすでに家の中にいたというボケ具合。
「レシートの裏…」
ずっと握られていたレシートは、もうすでにくしゃくしゃでよれよれだった。
「えー…と、『5時過ぎてから電話下さい』?」
言われた通り見てみたレシートの裏には、あいつのものだろうと思われるケー番とさっきの伝言が書かれていた。
「5時…?電話?」
…5時まであと2時間。
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