768人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「裕ちゃん」
「その代わり、仕事を辞めて欲しい」
「裕ちゃん……
ごめんなさい今は仕事を辞めれないの……
もうすぐ発表会もあるし、引き継ぎも大変だから」
「ゆっくりと考えて良いから一緒に暮らそう」
裕二から突然、同棲の話を持ちかけられて私は戸惑いを隠せない……
裕ちゃんと一緒に居れる時間が長くなるのは嬉しいけど、私は日陰のような存在だし……
裕ちゃんが芸能人でなければ堂々と街を歩いて、普通のカップルみたいにイチャイチャして過ごせるのにと何度も思った。
芸能人は常に世間の目にさらされてるから裕ちゃんだってプライベートくらいは自由にしたいはず……
「俺だって香織と普通の恋人同士の付き合いがしたいよ」
「裕ちゃん」
「香織の気持ちくらい分かるよ、俺が俳優でなければ、こんなに苦しい思いはしなかったよな」
そう言うと再び私を抱き締め甘いKissをしてきた。
「裕ちゃん……
夜ご飯出来てるよ」
「悪いな」
「じゃぁご飯を盛るわね」
私はテーブルに夕食のセットをして、ご飯を盛り、裕二と一緒に夕食を済ませた。
「香織、また料理の腕を上げたな」
「ありがとう」
テレビでは決して見せない笑顔……
私はこの彼の笑顔が大好きだ。
「香織、今夜は泊まって行くよね」
「裕ちゃん……
やっぱり私、帰るよ」
「実は、事務所のスタッフが出払って居ないんだ……
社長に香織を送らせる訳に行かないから……
それに今夜は一緒に過ごしていたいから」
「分かった……
泊まって行く」
「明日、事務所のスタッフが来るから、そのまま出勤すれば良い」
「裕ちゃん」
「たまには香織と2人きりで過ごしたいからね」
最初のコメントを投稿しよう!