秘密の恋人

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食事が終わり、私は後かたづけを始めようとした。 「香織、俺が片付けるよ」 裕二は食器をキッチンに運び食器を洗い始めた。 「裕ちゃん疲れてるのにごめんね」 「いいよ、香織は俺のために食事を作ってくれて、掃除や洗濯までしてくれただろう」 「だって、裕ちゃんは忙しいでしょ?」 「確かにね…… ドラマと映画の撮影があるからね」 「裕ちゃん無理しないでね」 裕二は仕事とプライベートは公私混同せずに切り離している。 だから私も彼の気持ちを尊重して仕事の話しには一切口出しはしないようにしている。 「ありがとう」 「裕ちゃん」 私達は見つめ合って唇を重ねKissを交わした。 まるでドラマのワンシーンみたいなとろけるような甘いKiss…… 「香織にしかこんなKissはしないよ」 「裕ちゃん」 裕二がこんなに熱く激しい甘いKissをするのは初めてだ。 このKissで私は自身を求められていることを感じ取った。 私は少しづつ緊張し始めて恥ずかしくなってきた。 「香織…… もしかして緊張してる?」 「イャだ恥ずかしいから聞かないでよ」 私は裕二から視線を逸らして俯いた。 「香織は可愛いな」 「裕ちゃん」 「香織」 私は裕二に抱き抱えられて、ベッドに寝かされた。 「ねぇ裕ちゃん……」 「香織、今夜はこのまま眠ろうか」 「うん」 私は少しホッとしつつも、ちょっと期待が外れて残念な気もした。 付き合い始めて一年が経つが、裕二はまだ私には触れていない。 付き合い始めた当初はすぐにでも求められるのかとすごく不安だった。
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