秘密の恋人

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私は裕二の事務所のスタッフに教室まで送ってもらい出勤した。 「おはようございます」 「織田さん、発表会に出す生徒さんは決めましたか?」 「亜由美ちゃんと恵里佳ちゃんの2人にしました」 「亜由美ちゃんと恵里佳ちゃんなら全国大会も目指せるわね」 「はい」 「今日もよろしく頼むわね」 「はいよろしくお願いします」 私は事務室を出て教室に向かった。 今日は個人レッスンの日…… 私はグループレッスンと個人レッスンの両方を受け持ち、200人くらいの生徒を教えてる。 私は昨日、裕二から一緒に暮らしたいと言われた時すごく嬉しかった反面、私が教えてる生徒達を見捨てたくない気持ちと自分の幸せを掴み裕二を支えたい気持ちの狭間で揺らいでいる。 いくらゆっくりでも良いと言われても気持ちは焦ってしまう…… 私は教室でレッスンの準備をして生徒が来るのを待っていた。 個人レッスンは大人の人も習いに来る。 生徒が来るまでの間私は教室のピアノでショパン作曲英雄ポロネーズの練習を始めた。 そう、私も講師代表で演奏する事が決まっていたのだ。 大手楽器メーカーの音楽教室ともなると年に数回のコンクールや発表会が行われ、毎回優秀な生徒を出して教室のランク付けを行う…… 優秀な生徒が多ければ多いほど教室は有利になる。 そのため私達講師も日々の努力と研修も課せられてくる…… 私は若手講師の中でも生徒の受け持ち人数はトップクラスに入っている。 プロになることも学生時代に考えたが、私は教える事に興味を持ち、この道を選んだ。 そろそろレッスンが始まる時間が近づいている。 私は練習を止めて、生徒が来るのを待った。 「先生こんにちは」 「はい、こんにちは」 こんな感じでレッスンは始まる。
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