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あれから、桃花は荷車に乗せてもらい、半月くらい経った。
商人も楽ではなかった。
色々な町に寄って、物々交換をし、ある時は、野宿したりと…山賊などに遭遇しないかと、桃花自身は恐怖や心配などが頭に過ぎる日々もあった。
そして、やっと早朝に犀都に着いたのだ。
犀都は桃花が住んでいた村とは比べものならないくらい立派だった。
まず、住んでいる家の一つ一つが広く大きく、そして、なんと言っても、犀都中心部には、閨国国王が住まう王宮があるのだ。
早朝だと言うのに人々は、綺麗な服を着て優雅に行き交っている。
桃花はそれを見て、犀都に来たんだと実感する。
そして、約束通り、荷車の荷物運びを手伝い終える頃には、沢山の人々が街並みを歩き始め、商人達が店を開き始めた。
「ありがとうお嬢さん。もう、大丈夫ですよ」
「おじさんも、ありがとう」
「いやいや、稼ぎ場所が見つかると良いですね」
「はい、私、頑張ります!!」
そう言ってにこやか笑い、おじさんと別れた。
商人のおじさんは、また、別の土地に行って物々交換をしなくてはならないらしく、直ぐに犀都から離れてしまうらしい。
「さてと……まずは、働き口よね…」
犀都に着いたのは良いが、働き口を探さなければならい。
まずは、住み込みで働かせてくれる場所を見つけなければ…
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