犀都と青年

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  「あぁ、田舎から来たらしくて…お嬢さん、こちら、この店の女主人ですよ」 「は、初めまして!!私、働き口を探しているんです!!」 桃花は頭を下げてから紹介された女主人を見ると、主人はにこりと微笑んだ。 「良い子が入ったね。あんたなら、直ぐに売れっ子になるさ」 「売れっ子……?あの、ここは…何をするお店ですか…?」 わけのわからない単語に眉をひそめ、首を傾げる桃花に、女主人は不適な笑みを見せる。 「ここは、遊郭さ。自分を売って金を稼ぐ。それが、あんたの仕事さ」 「自分を…!?」 「もちろん、なかなか良い顔をしてるじゃないか」 「自分を……」 言葉を呟く度に桃花は、ぞっと寒気がした。 ずっと働くと言うのは、食堂や装飾品など健全な物しか頭になかったのだ。 ましてや、自分を売る仕事など、頭の片隅にさえなかった。 桃花は、直ぐにここから逃げ出さなくてはと、とっさに入り口に向かって走った。 「あっ、こら、待て!!」 桃花が逃げるのを中年男性が捕まえようと追いかけて来る。 桃花は必死にもつれそうになる足で、花街の中を走ったが、大人に勝てるはずもなくいとも簡単に捕まった。 「全く…世話をかけさせやがって…」 肩で息をする中年男性に無理やり引きずられるように、手を捕まれ、先ほどの屋敷に戻されそうになる。  
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