犀都と青年

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  「ご覧なさい。あそこに見えるのが、閨国の主が住まう王宮です」 指を差された方向を見つめれば、他の建物よりも高い位置にあるためか、立派な外壁がある事がわかる。 「す…凄いです……わ、私は、このような凄い所に、足を踏み入れしまったのですね」 「ふふふ、さぁ、行きましょう。貴女を連れて行くのは、王宮の近くに屋敷を構える嘩<カ>家です。王宮に近ければ近いほど、血の繋がりの深さを意味するのです。ここは、ほんの端に過ぎない」 「そ、そうなのですか!?では、さっきの場所は…」 「さきほどの地区は、大商人や一般貴族が家を構える地区です。さ、日が暮れないうちに、行きましょう。貴女に仕事を持たせないといけませんからね?」 そう笑って、煌雷は桃花の手を引いて歩き出した。 全ての建物に圧倒されながら、周りを観察する桃花を横目で見ながら微笑む煌雷。 この青年によって、彼女の人生は少しずつ変化していくのだった。  
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