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「……大丈夫だ…警戒する必要は無い…」
まるで人間に語りかけるかのように猫達に話す迅
ベッドの傍に座る静音の近くに同じく座り、猫達の喉を撫でる
猫は気持ち良さそうに喉をグルグルと鳴らした後、迅の手や腕に頭を擦りつけた
「……こうすれば、猫は喜ぶんだ」
静音は迅がやったように近くの茶色の猫の喉へ恐る恐る手を伸ばす
猫は初めは警戒していたが、静音の手が喉を撫で始めた時、その警戒心は解けた
静音はとても嬉しそうな顔をして迅を見る
迅もそれに微笑んで返し、頭に乗っている猫の頭を撫で始めた
暫くすると、仲間につられたように静音の周りに猫達が集まって静音を観察する
やがて危険では無いと判断し、ほとんどの猫が静音に懐いた
「弟君!猫ちゃん達が懐いてくれた!!」
今の静音の表情は、言い尽くせない幸せで満ち溢れている
「…良かった…これでコイツらに…新しい親ができた…」
「…え?…弟君、それって…」
「…毎日とは言わない…でも、時々家に来てコイツらと遊んでやってくれ…ずっと俺1人で、コイツらも退屈だったろうから…」
珍しく長いセリフを喋った迅の提案に、静音はこれでもかと言わんばかりの明るい笑顔で頷いた
「弟君、仮に毎日来てもウザいとか思ったりしないでよ?」
「…あぁ…静音なら…いつでも歓迎する」
「ッ!?…弟君…!」
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