プロローグ

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「けちでけっこう」 優しい笑みを浮かべると、男が前を指差す。 「レグリアが、咲いています」 「レグリア?」 男が立ち止まった足元には、形が壺状で六弁の白い花が咲いていた。一輪だけ咲くレグリアは、風にゆらゆらと揺れている。 「レグリアは草原にしか咲かない花で、花言葉は喜びです」 「ふうん」 興味がないのか、少年の態度は素っ気なかった。 片膝をついた男は、レグリアを根元から摘み取った。容貌が美しい彼が花を持つ姿は絵になっていた。もしここに女性がいたら、顔を赤くして見惚れていたに違いない。 男は赤色の目を閉じて開くと、呪文を唱える。 「永久を与える神、トラウムよ。この花に、朽ちることのない維持を与えたまえ」
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