第四章 死闘、そして運命の再会

146/182
前へ
/464ページ
次へ
「私、あなたとは闘いたくありませんね。だって、勝てる気がしませんもの」 ガウンがわざとらしくぶるぶると震えた。本心では怖がっていないのに、大仰に怯えているふりをしているように見えた。 「どうしましょう。天地の剣を奪うには、必然的にあなたと闘うことになりますよね」 「それは場合によるな」 「場合によるとは?」 「この男を傷つけるのはいっこうに構わんが、ベルナールだけは傷つけるのを許さない。こやつを痛めつけていいのは余だけだ」 ラシアスが愛しげにフーガを見つめていた。なぜこんな目を向けられるのか、フーガには全く理解できなかった。 「それなら問題ありませんね。今、天地の剣を持ってるのは、彼じゃありませんから」 ガウンはルシャンを一瞥し、杖を下に向かって突いた。 低い音と共に背後の地面が割れる。その瞬間、割れ目から無色で太い触手が何本も出てフーガの手足、腰を締めつけた。後ろから伸びてきた触手から逃げる隙もなかった。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加