第四章 死闘、そして運命の再会

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「あやつは、いつまで持ちこたえられるだろうな」 ラシアスが独り言のように呟く。彼は無関心な冷たい眼で、ガウンと闘うルシャンを見つめていた。 底無しの魔力をもつガウンは魔術を躊躇なく使える。それに対してルシャンは、魔術を制限して使わなければならない。この闘いで有利なのはガウンである。 何もできない自分にフーガは苛立った。こうしている間にルシャンが傷ついたり、殺されることがあったらと思うと落ち着かなくなる。 フーガが武器を握ったのは、大切な人を守りたいからだ。このまま何もできないのは嫌だった。 「おい、おまえならこの魔術をとけるだろう?」 顔をこちらに向けたラシアスを臆することなくにらむ。目はもとの濃い紫色に戻っていた。 小さく首を傾げたラシアスは、不思議そうにフーガを見続ける。 「そんなにあやつを助けたいか?」 「当然だ」 ルシャンはフーガにとって大切な人だ。己を犠牲にしてでも、守りたい存在である。
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