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ラシアスは口元に笑みを含んで目を細めた。
「では、あやつが貴様にあの日の真実を偽っていたとしても、それでも本当に助けたいと思うのか?」
「あの日の……真実?」
「そうだ、知りたいか?」
彼の言葉をこれ以上聞いてはいけないと分かっていたが、続きを知りたかった。それを察したのかラシアスは続ける。
「貴様の記憶では、あの少女は貴様を庇って死んだのだったな。だが、真実は違う」
ラシアスが早く言いたくてたまらないというように、喜悦した笑みを顔じゅうに浮かべた。
「あの少女は貴様が殺したのだ」
「……嘘だ」
フーガは大きく首を振った。そのような言葉を信じたくなかった。
「嘘ではない、貴様が殺したのだ」
「黙れ、そんな嘘に俺が騙されると思ってるのか!」
「怒りを沈めろ、ベルナール。貴様が余になんと言って、あの少女を生き返らせようとしたか教えてやろう」
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