第四章 死闘、そして運命の再会

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「一つ訊こう。貴様は少女に庇われたと言っているが、なぜ庇われたのか答えられるのか?」 「ファンは俺を守ろうとして……」 フーガは気づいてしまった。ファンがフーガを守ろうとした事実があっても、彼女が何から守ろうとしたのか全く思い出せないことに。それだけではない。 村が襲われた事実が分かっていても誰に襲われたのか分からなかった。さらに、両親が闘った敵の顔を思い出せなかった。 なぜ今まで疑問に思わなかったのだろう。 それが本当の記憶だと思っていたから、気づかなかったのか? いや、違う。都合が悪い部分を気づかせないように記憶がつくりかえられていたから、疑問に思うことがなかったのだ。 ラシアスの言う通りならルシャンがフーガの記憶をつくりかえた。その理由は定かではないが、受け入れたくない事実だった。 「どうして、おまえは俺の記憶が間違ってると断言できるんだ?」 「余は貴様と契約した時に、貴様の記憶をすべてもらっている。それ故、偽りに変わる前の本当の記憶を知っているのだ。と言っても、貴様には身に覚えがないのだろうな」 記憶をすべてもらっている? それはどういう意味だ?
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