第四章 死闘、そして運命の再会

157/182
前へ
/464ページ
次へ
両親を見つめて、胸が苦しくなった。離れたくない。ずっと一緒にいたいという思いを断ち切り、フーガは走り出した。 だが。 「それがおまえの息子か、リアド?」 破壊された扉の前に男が立っていた。 いつ現れたのか、傍観しているフーガには分からなかった。声がして初めて気づいたのだ。 男は扉のない玄関から中に入る。 「………嘘だろう!?」 今見ているものを信じたくなかったし、嘘であってほしかった。フーガは震える手に力を入れる。 男の顔がルシャンとそっくりだった。いや、本人と言っても過言ではない。現在よりも少し若い顔つきと、髪の長さはフーガと出会った時と同じだった。抑揚のない男の声音は、優しい口調にすれば、ルシャンと同様の声に聞こえるだろう。 唯一違うのは服装で、膝より長い丈の黒いコートを着ている。コートの左胸には剣と剣が十字に交わる模様があった。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加