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両親を見つめて、胸が苦しくなった。離れたくない。ずっと一緒にいたいという思いを断ち切り、フーガは走り出した。
だが。
「それがおまえの息子か、リアド?」
破壊された扉の前に男が立っていた。
いつ現れたのか、傍観しているフーガには分からなかった。声がして初めて気づいたのだ。
男は扉のない玄関から中に入る。
「………嘘だろう!?」
今見ているものを信じたくなかったし、嘘であってほしかった。フーガは震える手に力を入れる。
男の顔がルシャンとそっくりだった。いや、本人と言っても過言ではない。現在よりも少し若い顔つきと、髪の長さはフーガと出会った時と同じだった。抑揚のない男の声音は、優しい口調にすれば、ルシャンと同様の声に聞こえるだろう。
唯一違うのは服装で、膝より長い丈の黒いコートを着ている。コートの左胸には剣と剣が十字に交わる模様があった。
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