第四章 死闘、そして運命の再会

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「フーガを傷つけることは許さない」 「おまえの息子は、フーガというのか」 フーガに歩み寄ろうとする男の間にリアデが割って入った。手には風でつくられた剣を持ち、切っ先を首に突きつけている。リアデが風の剣を三秒もかからず、呪文もなしでつくり出したので驚きだった。 「あの女から離れてよかったのか?」 男の赤い両眼が吊り上がり鋭くなる。剣を向けられている状況にもかかわらず、男はまるで焦っていなかった。 「う、あ……」 ネイは左肩を押さえて呻く。 傷口を押さえた手の隙間から、血がとめどなく流れる。伝う血で左腕の袖が真っ赤に染まった。 「母さん!」 彼女に駆け寄ろうとするフーガの腕をリアデが掴んだ。 「おまえは逃げろ」 「母さんが、母さんが!?」 「フーガ、聞くんだ」 手を振りほどこうと暴れるフーガをリアデが無理やり引っ張った。そして両肩に手をおき、フーガの目を覗き込んだ。
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