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「母さんは私が責任をもって守る。だから、おまえは私を信じて逃げろ。いいな」
この時のフーガにとって、父の存在は偉大で信頼できる相手だった。だから、逃げることを選らんだのだ。この先にどんな未来が、待っているのか知らずに。
背中を強く押されたフーガは、リアデの風魔術にも押され、窓に向かっていた。
ガラスがすべて割れ、窓枠も壊れているので、妨げになるものはない。窓から外に向かって出られる位置につく直前、惜しくも邪魔が入った。男が黒い剣を持って、フーガに迫っている。その剣をいつ出したのか、走っている最中のフーガには、分からなかった。
男の腰に鞘はないので、そこにあったものではないのは確かだ。
「あの剣は……!?」
フーガは愕然とする。
ただの黒色の剣ならよかった。しかし男が持つ剣は、ルシャンと同じ黒い翼の形をした剣だった。
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