第四章 死闘、そして運命の再会

159/182
前へ
/464ページ
次へ
「母さんは私が責任をもって守る。だから、おまえは私を信じて逃げろ。いいな」 この時のフーガにとって、父の存在は偉大で信頼できる相手だった。だから、逃げることを選らんだのだ。この先にどんな未来が、待っているのか知らずに。 背中を強く押されたフーガは、リアデの風魔術にも押され、窓に向かっていた。 ガラスがすべて割れ、窓枠も壊れているので、妨げになるものはない。窓から外に向かって出られる位置につく直前、惜しくも邪魔が入った。男が黒い剣を持って、フーガに迫っている。その剣をいつ出したのか、走っている最中のフーガには、分からなかった。 男の腰に鞘はないので、そこにあったものではないのは確かだ。 「あの剣は……!?」 フーガは愕然とする。 ただの黒色の剣ならよかった。しかし男が持つ剣は、ルシャンと同じ黒い翼の形をした剣だった。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加