第四章 死闘、そして運命の再会

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「俺はおまえに屈しない。俺は己が信じることを貫く」 「あわだな、ベルナール。信じて裏切られることもあるというのに」 「そうだな。でも、俺は師匠を信じるよ」 フーガにとってルシャンは大切な人だ。彼を信じてあげるのは当然である。 それでもし裏切られることがあったら、その時はルシャンを殺すのだろうか? フーガは大きく首を振り、余計な考えを振り払う。そんなことはある訳がない。唇を痛いほど噛み、ルシャンとガウンが闘っているほうに向かって走り出した。 ラシアスは無言で、ただフーガの後ろ姿を無表情のまま眺めていた。 「我の命に従い現れろ、クレイム」 フーガの軽く握った手から水が溢れて冷気とまじる。水が縦に伸びると、先が鋭くなって固まった。ガラスのように透明な銃剣がフーガの手に握られていた。長い銃身には、青い線が一直線に刻まれている。 ルシャンとガウンの闘いは拮抗していた。二人は互角に渡り合っている。
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