第四章 死闘、そして運命の再会

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ガウンの足元に狙いを定め、フーガは引き金を引く。弾が地面で砕け氷になり、ガウンの片足を急速に固めた。 片足の動きが制限されたせいで、ガウンに隙が生まれる。ルシャンはその隙を逃さなかった。 ガウンの肩から脇腹を剣で斜めに斬った。その瞬間、浅くない傷口から血がとまることなく出る。 「武器を二つ持ってるなんて、反則ですよ。きみが例外の存在だったとは驚きですね」 痛みに顔を歪めながら、ガウンは笑っていた。二度目になるルシャンの攻撃をかろうじて、かわして下がった。 武器は二つだけではないが、あえて言う必要もないので、フーガは否定しなかった。 まるで子供のように頬を膨らませたルシャンが、抗議するような目つきになる。 「フーガ、愛する師匠を助けるのが遅いのですよ」 「愛するは余計だ。今まで魔術の拘束をとくのに、手間取っていたんだよ」 フーガは半分嘘をつく。本当はあの日の記憶を途中から見ていたとは言えない。
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