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「そんなものに手間取っているようでは、あなたは一生涯弟子を卒業できませんね」
「な!?」
何も言い返せないフーガは、腹立ちを抑えるしかなかった。魔術の拘束をとくのに時間がかかっていたのは事実で、ラシアスがといてくれなければフーガはあのままだった。
そもそも魔術がきかないものをどうにかする実力など、自分にはなかったのだ。
「恋人同士の口喧嘩は、よそでやってもらいたいですね」
「誰が恋人同士だ!」
怒るフーガを見て、ガウンがこの状況をおもしろがるような笑みを浮かべる。
あれが深手を負った人間なのか? ガウンは気持ちにゆとりがあるように見えた。
「私とフーガが思い人同士だと、分かってしまう人には、分かってしまうのですね」
ルシャンがはにかんで何度も頷いた。
冗談ではない。師匠がフーガの恋人だなんてばかげている。一発彼を殴ってやりたくなったが、理性がそれを許さなかった。
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