第四章 死闘、そして運命の再会

165/182
前へ
/464ページ
次へ
「師匠、ふざけるのもいい加減にしろ」 「フーガは私の恋人、ふふ」 「人の話を聞け!」 ついに我慢ができなくなり、ルシャンに拳を振る。 「いたっ!」 だが、剣を楯代わりにされて防がれる。フーガは顔を歪めて呻いた。 痛みが脈を打って腕に伝わったのだ。 涙目になったフーガは、勝ち誇ったようにこちらを見るルシャンをにらみつけた。 「私のほうが一枚上手でしたね。まだまだ弟子のフーガ・ベルナールくん?」 ルシャンに怒りが込み上げてきたがたえた。いつか絶対に見返してやる、と心の中だけで誓うだけにする。 「残念ですけど、闘いはここまでのようですね。さすがの私もこんな傷を負って、闘いに勝つ自信はありませんから」 と言い終えると、ガウンは不敵に笑んで続ける。 「ですが、天地の剣を奪うのを諦めた訳じゃありませんよ。いつか必ず手に入れてみせます」 そう言って、ルシャンが持つ天地の剣をにらんだ。今度は必ず奪うという強い執念が感じられた。 フーガはルシャンが、天地の剣を持つ手に力が入っているのに気づいた。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1829人が本棚に入れています
本棚に追加