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ガウンは杖を消し、
「機会があればまた会いましょう。それでは、さようなら」
一礼をして別れを告げると、全身が薄れ始めた。ガウンの姿が消えたと同時にペルーシュ達の身体も薄くなり、その場からいなくなった。
「……終わったのか?」
はりつめていた気持ちが緩みそうになったが、ラシアスがいるのを思い出して気を引き締める。フーガの緊張を察したのか、ルシャンが耳元で囁く。
「あの悪魔なら、消えてしまいましたよ。ガウンという男がいなくなるのを見届けてね」
「……」
無意識のうちに入っていた肩の力が抜けた。確かに、ラシアスの気配が消えていた。
もしあの悪魔がまた目の前に現れることがあったら、フーガはどうするのだろうか?
――あの少女は貴様が殺したのだ。
思い出したくないラシアスの声がよみがえった。
「違う!」
フーガは否定して、首を大きく振る。ファンをこの手で殺したなんてありえない。大好きだった彼女をフーガが殺すはずはない。
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