第四章 死闘、そして運命の再会

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「何が出たんですか、ベルナール殿?」 青年が眉間にしわを寄せ、腰に手をあてる。目の前にいるのは、紛れもなくあの時、死んだはずのチェスだった。 彼の腰には剣が鞘におさまっている。武器は死んだ時、無になったとばかり思っていたが違った。 チェスの胸には、すでにつららはなく傷がふさがっていた。そこからミズキの魔力が感じられたので、治したのはチェスの隣にいる彼なのだろう。 「死んでなかったんだ……」 「ええ、幸運にも急所がはずれていたので死なずに済みました。情けないのですが、今まで気絶していたんです」 あの時、フーガが肩を強く揺すっても起きなかった訳が、失神していたからだと思えば納得できる。ガウンがチェスを殺し損ねたと知ったら、さぞ悔しがることだろう。 フーガは喜びで胸がしめつけられたように感じた。心から嬉しかったのだ。
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