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「俺はあなたを守れなかった。だから、俺に感謝なんてしないでほしい」
「……きみは私を守りましたよ」
フーガは目を閉じて、ゆっくり首を振った。
「きみは私を守ったんです!」
「俺は……あなたを守れなかったんだ」
早くガウンの意図にフーガが気づいていれば、チェスが傷つくことはなかった。先が読めていたら、己につららが刺さるのも構わず、チェスを助けるのを選らんでいただろう。
「フーガ、あなたは彼を――そして、天地の剣を守ったのですよ」
ルシャンが有無を言わせず、フーガの手に天地の剣を押しつける。口に出していなくても、ルシャンの目が握れと言っていた。
渋々天地の剣を掴んだフーガは、躊躇しながらもチェスに差し出す。
「ありがとう、ベルナール殿」
受け取ったチェスが優しく微笑んだ。
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