第四章 死闘、そして運命の再会

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「俺はあなたを守れなかった。だから、俺に感謝なんてしないでほしい」 「……きみは私を守りましたよ」 フーガは目を閉じて、ゆっくり首を振った。 「きみは私を守ったんです!」 「俺は……あなたを守れなかったんだ」 早くガウンの意図にフーガが気づいていれば、チェスが傷つくことはなかった。先が読めていたら、己につららが刺さるのも構わず、チェスを助けるのを選らんでいただろう。 「フーガ、あなたは彼を――そして、天地の剣を守ったのですよ」 ルシャンが有無を言わせず、フーガの手に天地の剣を押しつける。口に出していなくても、ルシャンの目が握れと言っていた。 渋々天地の剣を掴んだフーガは、躊躇しながらもチェスに差し出す。 「ありがとう、ベルナール殿」 受け取ったチェスが優しく微笑んだ。
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