第四章 死闘、そして運命の再会

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男が片膝をついたまま、頭を下げた。 「ご無礼をお許しください。あなたがウェザー王国からの使者だったとは。今更、弁解の余地もありません」 「いえ、頭を上げてください。それより、早く彼を運んであげてください」 頷いて立ち上がった男は目配せをする。それに従い、二人の衛兵が動き門番に近づいた。 二人の衛兵が門番を持ち上げると、歩き出して門の中に入っていった。 「では、いきましょう」 男に向かってチェスは首肯し、足を踏み出そうとしてとまる。そして、ゆっくり背後をふり返った。 「護衛はもうここまでですね。学園には改めて、感謝の書状を送らせていただきます」 チェスは感謝を表すように深くお辞儀をした。 しばらく頭を下げた後、顔を上げてフーガを見つめる。チェスの顔が寂しさをこらえていた。 まさか、そんな表情をされるとは思わず驚く。
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