第四章 死闘、そして運命の再会

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「私はきみのことを一生忘れないでしょう」 「俺も……同じだよ」 柄にもなく本当の気持ちを伝えていた。 フーガは恥ずかしくなり、頬が火照る。赤くなった顔を見られたくなくて俯こうとしたが、チェスの姿を最後まで見送りたかったので思いとどまった。 チェスはわずかに微笑み何も言わず、背を向けて歩き始める。それに付き従って、鎗を持った男と残りの衛兵も後に続いた。 チェスの背中が見えなくなるまで、フーガはずっと眺めていた。 これが別れだと思うと寂しくなる。きっと二度と、チェスに会うことはないのだろう。 最後の衛兵が入り終えると、門は閉ざされた。 結局、天地の剣がどんな剣なのか見られなかった。それが少し心残りではあるが、これでよかったのだ。天地の剣が、ガウン達に奪われなかった結果に意味があるのである。
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