エピローグ

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真新しい制服を着た少年が、木に立ったままもたれかかっていた。 彼の目が眠そうに空を眺めている。雲がゆっくり流れていく様子を見続けて、眠くなっているようだった。 少年はあくびを噛み殺し、両手を上に伸ばす。 「う~ん、眠い」 そろそろ屋上にいって、一眠りをしてこようか、と考えていると足音が聞こえてきた。 「せっかく階級が二つ上がったというのに、ここで何をしているんだ、ベルナール? 授業はまだ終わっていないだろう」 フーガから一、二メートル離れた場所にミズキが立っていた。 思わず顔をしかめたくなるのをこらえて左袖を見る。袖の青いラインが示す通り、階級はブルークリスタル。スカーレットクリスタルを一つ飛び、次の階級になっている。 嫌でも昨日のことを思い出した。 学園に辿り着いたフーガは、空腹でおかしくなりそうになりながら、校長室に向かった。無論学園に入る時も、出た時と同様に一悶着あったがまた力ずくで黙らせた。校長室に向かった理由は、退学処分を取り消してもらうためだった。
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