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フーガは学園に戻ってきたのは、ここが自分の居場所だと気づいたからだ。いや、本当は学園を出た時から気づいていたのかもしれない。自分はそれを認めてしまうのが嫌だったのだ。
リント校長に退学処分を取り消してほしいと、フーガが頼むと即答で拒否された。
自分が本気を出せば、退学処分をなかったことにできる、と言っていたあの言葉はなんだったんだと怒りたくなった。だが、怒りを抑えて理由を訊くと彼女はこう言った。
「おまえがスニーズを含めた全教師をフーガ・ベルナールは、落ちこぼれではない、と認めさせなければだめだ。それをしなければ、私が取り消してもまたおまえは、退学処分にされるだろう」
リントの言葉は正しかった。ライゼ学園の全教師がフーガを退学処分にしたのだから、彼らを認めさせなければならない。
全員を認めさせるのは不可能に近いと分かっていたが、何もしないまま諦めたくなかった。だから、フーガはリントにすべての教師を一ヶ所に集めるように頼んだ。
朝食前の突然の集合だが、校長の命令を無視する訳にはいかず、教師達は指定された闘技場に集まった。
闘技場は学園から少し離れた場所にあり、中は広く円形になっている。上にある観客席の間を闘技場の壁が隔てており、壁の高さは四メートル以上である。
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