エピローグ

4/9
1829人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
ここは本来なら魔術武器師同士が勝敗を競う場だ。階級が同じ者が試合を行ったり、武器術のクラス対抗戦や個人戦を時には行ったりする。 血に汚れた制服で教師達の前に出るのはまずいので、フーガはリントから貸してもらった外套を身につけていた。 リントが立ち会う中、フーガが落ちこぼれではないと、全教師を認めさせるのを前提にして、退学処分を取り消すという申し出に誰も反対しなかった。 それは誰もが全員の教師を認めさせるのは、無理だと思っていたからだろう。 しかし、結果は成功した。 落ちこぼれの印象が強かったフーガが風の舞いを使い、武器を出せば教師達は驚愕した。意外に彼らを認めさせるのは、簡単だったのである。 今思えば、リントはフーガが学園の生徒でいたいという思いを試したのかもしれない。 フーガが退学処分を取り消された後、リントに「校長室へこい」と言われて、彼女についていった。 中には校長を補佐する教頭のラネットが待ち構えるように立っていた。 リントがラネットに何か耳打ちをし、一度部屋から出た彼が持ってきたものがブルークリスタルの制服だった。 「泣いて喜べ、ベルナール。おまえは階級が上がったのだぞ」 身体を反らせたリントが右の拳を胸にあてて、にやりと笑った表情は一生忘れないだろう。 ラネットは「おめでとう」と言われても、呆然とするしかなかった。そんなフーガに階級が上がった理由を訊く元気は残っていなかった。貸してもらった外套は彼女に「おまえにやる」と言われたので、フーガのものになった。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!