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「そんなにうらやましいと思うのなら、おまえもゴールドクリスタルになればいい」
「誰がうらやましがってるって?」
心の中が見透かされていたらしく腹立たしく思った。その怒りを抑え、フーガは続ける。
「俺はゴールドクリスタルになるつもりはないし、この階級だって望んで手に入れたものじゃない」
「そうか。だが、残念だ」
ミズキはフーガをにらんだ。彼の目には、強い怒りがこめられている気がした。
「私がおまえを助けたあの日、武器を拒むことしかできなかった、いや違うか。武器を使うことをやめた少年が、少しは心を入れ替えたと思っていたのだが。思い違いだったようだな」
レナだけではなくミズキにも気づかれていたのか。フーガが武器を拒むのではなく、使うことをやめたのだと。
いつそれに気づいたのか尋ねる気持ちになれなかった。かわりに別のことを問う。
「あの日、どうして俺を助けたんだ?」
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