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「助けなくてよかったのか? 私があの時、助けなければおまえは負傷していたぞ」
フーガはミズキのわずかな顔つきの変化を見落としていた。何か言いたそうに目を細めたのは、一瞬浮かべられていただけだったからだ。
あの日、何もしないで傍観していることもできたのに、ミズキはあえて途中からフーガを助けた。彼は自分から面倒事に関わったのである。その理由を知りたかった。
「私はただ人が傷つく姿を見たくないだけだ」
恥ずかしがる素振りもなくミズキが答えた。
「私もおまえに一つ尋ねていいか?」
「なんだ?」
「なぜあの時、少年の背後を攻撃しなかったんだ?」
その問いは二度目になる。もう一度答えなければならないと思うと、疲労を感じた。
フーガは息を吐いて言う。
「だから、俺が攻撃をしなかったのは気まぐれで、やるのは自由だと言ったはずだ」
「違うな、おまえは攻撃するのをためらったんだ」
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